松廼家 Matsunoya~異人館通りに移転した神戸随一の老舗料亭
神戸北野を東西に貫く「山本通り」、通称「異人館通り」。G.Y.Visionもこの異人館道りを臨むビルの一室にある。
今月2022年12月で開業65年を迎えた「ホテル北野プラザ六甲荘」を起点に、1869年設立され今なお続く外国人社交クラブ「神戸倶楽部」の真下までの東西約700m。
歩くと10分かそこらのこの通りには、明治・大正期に建てられた洋風建築「異人館」が数多く立ち並ぶ。
この通りを含む神戸北野町・山本通エリアは、文部科学省文化庁が選定する「伝統的建造物群保存地区」に指定されており、33件の洋風建築物と7件の和風建築物がその伝統的建造物に当たる。
「北野異人館街」の目抜き通りとも言える「異人館通り」を歩くと、あちこちから様々な言語による会話が聞こえてくるだろう。
観光地であると同時に、世界各地から集まった人種・文化・食べ物・宗教が平和に共存する不思議な住宅街でもあるからだ。
「異人館通り」のちょうど中ほどに、コンクリート塀がそびえる広大な一角がある。
斜面に建てられているため「異人館通り」側からは何があるのか一見よく分からないのだが、一本山側の裏道に入ると、そこに数寄屋造りの「JR西日本三宮ゲストハウス」と洋館「旧ゲンセン邸」が並んで建っていることが分かるだろう。
今日の主役は、入口の緑青吹く銅板に「Gast Haus JR west Japan’s」の文字が刻まれている「三宮ゲストハウス」。
1907年に建てられた純和風建築の邸宅で、1928年洋館を増築。1947年からは国鉄の三宮寮、その後JR西日本が保有するゲストハウスとして長い間一般には非公開となっていた。
それが、コロナ禍第三波の只中となった2020年12月、4代続く神戸の老舗料亭「松廼家」がこの地で営業を再開したのだという。
恥ずかしながら、神戸人になって10年かそこらの新参者の私は「松廼家」の華麗なる歴史を存じ上げず、また至近距離に居を構えながらもこのニュースを知る機会に恵まれなかった。
それだけコロナ禍の思うままに振り回されていた最中での出来事だったということなのだろう。
「松廼家」は、第一次世界大戦の最中の1917年に神戸の花街・花隈で創業。政財界や芸能人が足繁く通ったという神戸随一の歴史を誇る料亭。
超人気スターだった石原裕次郎がファンやマスコミに追われて失踪事件を起こした際(1959年3月)、この「松廼家」に逗留していたという逸話も耳にした。
その証拠に、枯山水の庭を臨む2階の展示室には石原裕次郎や歴代総理が写る写真、司馬遼太郎や白洲次郎の書が残っている。
「松廼家」に関する報道を辿ってみた。
阪神・淡路大震災で全壊したのち三宮の「交通センタービル」内で営業を続けていたが、コロナ禍により休業。
四代目の女将の鵜殿麻里絵さんが、幼少期を過ごした花隈の屋敷の面影を「三宮ゲストハウス」に見出し、JR西日本と協同の文化振興事業としてこの地で営業を再開することとなったのだそうだ。
「文化振興」と掲げている通り、「ひょうご五国(摂津・播磨・但馬・丹波・淡路)」の魅力を発信する旗艦にもなっているようで、来る2023/1/14には淡路人形浄瑠璃も開かれる。
私がここを訪れるきっかっけとなったのは、2022年12月15日に行われた「ラグジュアリー・リカレント 日帰り学び旅」(主催:神戸新聞旅行社)の開催の地がここ「松廼家」だったからに他ならない。
唎酒師であり、私にとって大切なママ友であり、ABC「おはよう朝日です」でもお馴染みの野村朋未さんを迎えた「日本酒探訪講座」。
日本酒を通した「ひょうご五国」の学びと、「松廼家」の昼御膳についてはまた次回ご紹介したい。
Google Map:松廼家
https://goo.gl/maps/UpUwzEtdH9vQ9Aaz7